士と師の違いとは│資格表記の使い分けについて

世の中には様々な資格が存在し、資格そのものがそれぞれ大きな市場を形成しています。目指して取得した資格を使って働くということは、ある意味で理想の働き方であるようにも思います。
ところで資格の表記についてその由来を探っていると、興味深い歴史的事実にたどり着きます。代表的なものが「士」と「師」の違いであって、ここに疑問を感じたからこそ当ページにたどり着いたのではないかと思います。
そこで今回は、あまりにも定着しすぎて普段素通りされがちな「士」と「師」の表記の使い分けについて、簡単にまとめて紹介させていただこうと思います。
士の用法
大辞林(三省堂)によれば、「士」には①男子(特に学問・道徳を修めた男子)、②さむらい、武士、③古代中国で大夫と庶民との間に位した身分、という意味合いがあるようです。
①男子や②さむらいという使い方はある程度イメージどおりですが、むしろそれらの語源となっているのが③で、古代中国においてある種の特権階級に対して用いられていたことから、ここから転じて「才能のある者」に対して「士」と呼称するようになったという歴史があります。
また、「男子」としての用法については、かつて男性看護師のことを「看護士」と表記し、女性看護師を指す「看護婦」と分けて呼称していた時代がありました。なお、同時期に「師」への表記統一が図られたものに「保健婦」と「助産婦」がありますが、「助産師」には元より男性が存在しないため、「助産士」なる資格はそもそも存在しません。
以下に「士」を冠する職業人を抜粋してみましたが、どことなく「職人」の雰囲気を感じることができるのではないかと思います。
- 弁護士、弁理士、司法書士、土地家屋調査士
- 行政書士、海事代理士、社会保険労務士
- 公認会計士、税理士、中小企業診断士
- 不動産鑑定士、宅地建物取引士、通関士
- ファイナンシャル・プランニング技能士
- 建築士、建築施工管理技士、2級建築施工管理技士
- マンション管理士、土地区画整理士
- 技術士、測量士、計量士、電気工事士
- 海技士、潜水士、気象予報士
- ボイラー技士、ボイラー整備士、ボイラー溶接士
- 海技士、潜水士
師の用法
同じく大辞林を引用すると、「師」には①学問や芸能などを教える人、先生、師匠、②僧侶・神父など宗教上の指導者、③中国、周代の軍制で2500人を一師ということから転じて、軍隊、戦争、といった意味合いがあるようです。
映画やアニメの世界では「○○師団」という表現を見かけますが、③がその由来となっています。ここからもお分かりいただけるとおり、「師」とは「集団を導く者」のことを指します。
ちなみに、国家資格である「調理師」は、業務独占資格ではなく名称独占資格であるため、調理師免許を保有せずに調理を担当する者を、「調理師」と表記することができず、その代わりに、「調理士」と表記する慣習があるようです。
以下に主な「師」を抜粋して列挙しますが、「士」が職人のイメージであることに対して、「師」からはそれとなく「指導者」的なイメージを感じることができるのではないかと思います。
- 医師、歯科医師、獣医師
- 看護師、准看護師、保健師、助産師、薬剤師
- 柔道整復師、はり師、きゅう師、あん摩マッサージ指圧師
- 調教師、調理師、電気技師、美容師、理容師
- 牧師、教師、漁師、猟師
司の用法
同じ「し」として「○○司」という資格も存在していますが、こちらは律令制で、省に属し、職・寮に次ぐ役所を指していた「司」が、転じて「役目を受け持つ者」の意味を持つようになったようです。
以下に「司」を用いる職業人を列挙してみましたが、確かにいずれの「司」も公務に該当し、字面からも「役人」的な雰囲気が醸し出されているような気がしてきます。
- 児童福祉司
- 身体障害者福祉司
- 知的障害者福祉司
- 保護司
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